52.ポスト3.11、震災から7年~復興支援に思うこと~ | 株式会社 鈴木商会

52.ポスト3.11、震災から7年~復興支援に思うこと~

今、筆者がこのコラムを執筆しているのは、東日本大震災から丁度7年が経過した、2018年3月11日のことである。

 自然の驚異にひれ伏すことのできなかった人という生き物の無力を痛切に感じることになった、あの日、筆者は東京にいて、広告会社の社員としてその惨禍を目にしていた。

 当時、浜松町のオフィスで、出入りの協力会社の方と打ち合わせを行っていた最中に、地震は発生し、オフィスの東対面に見えるお台場からは煙が上がり、市川のコンビナートからは火の手が上がった。

 交通機関は完全に麻痺し、帰宅は困難で、当時、杉並区高円寺に自宅があった筆者は中野区に住む後輩社員の先導の役割を担い、帰宅を目指した。

 徒歩での帰宅途中、道路では事故が頻発し、怒号が飛び交い、崩壊寸前の建物も多く、時に空から煉瓦やタイルが振ってくることもあった。

 筆者は戦争をリアルに体験した世代ではないのだが、まるで、戦争で負けたかのような辛く、惨めな思いで8時間かけて、黙々と歩いたあの日を昨日のことのように思い出す。

 あれから7年、粛々と復興は進んでいるように思われるが…。

 筆者は広告会社在籍中、震災から3年たって、福島県のいわき市、富岡町などを訪れ、その後、宮城県県気仙沼市、南三陸町、女川町、松島市などを訪れ、独立後、福島県南相馬市で震災復興に携わる人材創出支援事業に参画し、かの地での暮らしを体験した。

 様々な施設、設備、テクノロジーが集約される東京とは全く異なる生活習慣を体験することになったのだが、地域では復興のために日々、黙々と懸命に生きている人たちに触れることができ、その熱い思いと高い志に、中央の視点ではなく、まさに地域の視点に立った、地域主権という視点の重要性に気付かされることになった。

 今、日本は、再び、東京オリンピックの成功をある種の目標として、東京中心でのインフラの再整備や、再開発、新開発が進んでいるのだが…。

 とある地政学者の論文によると、日本という国は島国であり、領土面積も狭いにも関わらず、森林、山林が多くを占め、ところどころを海や川で分断され、地域、地域の根強い風土、文化が継承され、小国でありながらも、実は、一元化が本来難しい国であるという主張を示している。

 言われてみればその通りで、諸外国に比較して、交通コストや宿泊コストはバカ高く、国内移動がさほど容易ではないことを、最近、筆者の強く実感している。

 つまり、本来は旧来型の一極集中、中央集権から舵を切り、地域主権を具現化させることが、日本を元気にする、活性化することの一番のクスリになるのではないか?と考える。

 振り返ってみると、日本が経済大国として成長するその軌跡には、確かに一極集中と中央主権は機能した。

 しかし、結果、深まったのは、地域コミュニティの崩壊、分断、格差の拡大であり、閉塞と混沌の要因ともなっているようにも思う。

 昨年、筆者は拠点の一つである広島県呉市で、映画『この世界の片隅に』を見た。

 この映画を見て感じたのは当時、「戦争」さえなければ、人は人同士を労わりあい、貧しいながらも片寄せあい、慎ましく、ささやかな幸せを糧に、日々を生きていた。

 経済成長が齎した様々な利便、効率で、確かに日本は豊かになった。しかし、何か大切なものを日々失ってしまったのではないか?ということを強く感じることになってしまった。

 今、インターネット時代の到来と共に、ユビキタス社会は実現したようにも思う。筆者も呉を拠点にしても、仕事の受注の中心は東京である。

 しかし、ユビキタスがかえって、閉塞や停滞を生み出す要因になっている、つまり移動やリアルな交流がなくても、人同士の繋がりや関連性、関係性は

維持され、なんとなくそれが“繋がり”として成立しているように思われるが、やはり人は人と、実際に対面し、顔を合わせ、膝を付け合わせながら交流を深め、様々なものを創ってゆくものである。

 しかしながら、インターネット社会の罪の部分でいえば、それを無駄な時間、ノイズと考え、それぞれが各々、ある意味、言いたい放題、やりたい放題になっているという側面も多い。

 今、書店で並ぶビジネス書籍で、注目を集め、売りに繋がっているモノというのは、やはり、競争社会で生き残るため、高いアドバンテージを得て生き残るための処世術が描かれた書籍が並ぶ。

 しかし、ここで、再び被災地に思いをはせるのだが、そうした自己利益第一主義ではなく、地域の復権、復興のために、それぞれの人がそれぞれの役割を果たすことを課せられ、毎日懸命に生きている人がいる。

 日本が更なる強国や大国を目指すために一人一人が強い、高い競争力を得るために普請する。それは決して過ちではないかも知れないけれど、それが、どれだけ地域に、社会に、貢献できるのか?必要とされる役割が果たせるのか?

 今、改めてそんな視点が必要であるようにも思う。

 そして、また企業における組織においても、スキルの高いメンバーを集めるだけではなく、自分の役割をきちんと果たしてくれる人材が必要であることは容易に理解できる。

そうした、人を思うこころ、地域を思うこころがその発展を支える。

 そうした事を時に顧みる必要があるのでは?と、この日が訪れるたびに、それを感じる…。

 

 

 

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