55. 女人禁制という伝統が、地球より重い筈の人の命を軽んじた日本相撲協会という組織に巣づく“病” | 株式会社 鈴木商会

55. 女人禁制という伝統が、地球より重い筈の人の命を軽んじた日本相撲協会という組織に巣づく“病”

何かと世間を騒がせている、公益社団法人日本相撲協会であるが、やや語弊があるかも知れないが、元横綱の暴力事件とか、その事件で被害にあった力士の親方の組織に対する反逆、そして、その親方の失墜というものに関して、今更、ここでどうこう述べるつもりはない。所謂、相撲界の常識と、一般社会の常識というものは、大きく乖離しており、それを埋め合わせる手立てなど何もなくて、正直、然程、興味がない…。
 ただし、先日、起こった、舞鶴市での巡業の際に挨拶に上がった、市長がクモ膜下出血で倒れた際に、その市長が経営に携わっていた病院に勤務する女性看護師の方が土俵に上がり、行司から「女性の方は土俵から降りてください。」というアナウンスが会場に響き渡ったこと…。
 これには、驚き、呆れたと同時に、まさにこの公益社団法人の組織の救いようのない病理を垣間見たのと同時に、所謂、“伝統”、“看板”、“歴史”に依存する組織自体が陥りがちな病であり、ここには警鐘を鳴らす必要があると思い、筆を執ることにした。
 誰が、どう考えても、土俵の上で挨拶した人が急に倒れ込んでこんで、泡を吹いている状況となったなら、当然、救護、介護に向かい、適切な処置をすることが当たり前のことである…。何せ、人の命にかかわることなのだから…。
 しかし、相撲協会の下した判断というのは、女人禁制というこれまでの伝統の中で守られていた“しきたり”なるものが優先され、人命が軽んじなれるという、絶対にあってはならない判断だったわけである。
 “伝統”、“看板”、“歴史”に護られた“因習”が、人を思考停止に追い込み、正しい判断に狂いが生じる…。
 これは何も、日本相撲協会という組織だけの問題に非ず、規模に関係なく、旧来的な価値が支配し、護送船団時代から抜け出すことのできない、企業、組織に、“蔓延る空気”である。
 どうしてこのような、“思考停止”なり、“狂い”が生じることになるのか?
 それはまさに、“思考を習慣としない集団”を形成することで実に容易に創り出すことが出来る。
 これだけ目まぐるしく時代が変化すると、それに対応することに物理的な限界が生じる…。すると、人というのは、変化をせずに済む環境というものを創り上げたくなる…。そういう時に、“伝統”、“看板”、“歴史”は有効に作用する。
 “時代を超えて、ここまで存続出来たのは、(“伝統”、“看板”、“歴史”)を守り続けてきたからであるなどという方便をリーダーが発信してしまえば、新たな常識に対応すること、新たな価値を開拓することよりも、“保ち守りぬく”事が何よりも大切であるということが浸透して、変革や改革は愚か、即す、適応さえも拒絶するような組織が出来上がってしまう…。
 相撲協会などは、伝統、風習、しきたりに関しては、力士や行事、協会運営に携わる職員など厳しい躾、教育は行われているかも知れないけれど、それこそ、今、世の中がどうなっているのか?なんてことを“考える習慣”などもまったく身に着けさせていないように感じられる…。
 目的合理主義のもと、常に右肩上がりの成長を標榜できる環境にある時、経営者というものは、不平も言わず、不満も言わず、ただ、規定路線に沿って、何も考えずに従順に日々、仕事を進めてくれる、ある意味“無関心”で“思考力の無い”人材の方が扱いやすく、組織に必要な人材であると勘違いする。
 けれど、いざ、組織が閉塞し、改革が必要になった時に必要な人材とは、好奇心を持ち、冒険心を持ち、深い思考と洞察のもと、仕事を進めることのできる“異端児”である。
 考えることは面倒なことである…。そして、今、技術の進化と共に、なるべく日常に“思考”を必要としない時間が溢れようとしている…。
 結果何が起こるのか?
 それが、今回のような“事件”であり、“事故”なのである…。
 前回このコラムに示した、“跋扈する道徳自警団”にも実は同様のことがいえる。
 自分たちの考える判断基準に適合しない人間を激しくバッシングする。
 これはある意味、考えること、思うことを放棄した人間たちのただの、ガス抜き行為でしかない。
 そして、今、筆者が非常に危惧しているのは、大衆そのものが劣化し、思考を放棄し、進化や変化や変革、革新への意思が奪われてしまっていることにある。
 長い閉塞は、足掻いても、もがいても、何も変化が訪れないことへの苛立ち、諦めが先行する…。
 自分には、何をどうやっても無理である、ただ流れに従うまで、そんな思考に陥ると、土俵の上で大切な命が奪われようとしているにも関わらず、女性看護師の方が土俵に上がった瞬間に、「女性は土俵から降りてください!」などと、突発的にマイクを握って放言してしまう「側」に回ってしまうことになる…。
経営者もしかり…。
思考を諦めた企業から、新たな価値は創出できない。
 とにかく必要な事は、考え続けることを諦めないという意志であると、筆者はただただ、思うのである…。
 

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