2.“都民ファースト”を掲げる小池百合子東京都知事の経営者としての資質 | 株式会社 鈴木商会

2.“都民ファースト”を掲げる小池百合子東京都知事の経営者としての資質

   先の東京都知事選に国政を擲ち、立候補し、強力なライバルであった、自民党東京都議会議員連盟の推薦する前岩手県知事、元総務大臣の増田寛也氏や野党共闘連合が推薦したジャーナリスト鳥越俊太郎氏を押さえトップ当選した元防衛大臣の小池百合子氏…。

 今、彼女は議会という抵抗勢力に屈することなく、掲げた公約である“都民ファースト”を遵守し、強靭な精神力で東京都のトップに立ち、様々な改革に意欲的に取り組んでいる。

 本コラムが掲載される頃には(※現在2017年4月22日)既に東京都議会議員選挙が公示され、小池氏がリーダーとなり組織化された“都民ファーストの会”は台風の目となり、現在、議会で多数派を形成する自民党東京都議会議員連合は厳しい闘いを強いられていることと予測する。

 更に、小池氏の掲げる“ファースト”は都民のみならず、国民にも向けられ、長く続く、自公連立政権とも対峙して、近く国政に打って出て、日本では初の女性の総理大臣誕生となる可能性もなくはない…。

 なぜこれだけの小池旋風が巻き起こっているのか?

 これまでの歴代、東京都知事を振り返ると、日本の首都であり、財政基盤に恵まれ、文化、経済の拠点として既に確固たる都市機能形成が為されていて、さしたる課題もなく、都政の運営は国政やその他の市政と比較すれば恵まれた環境と言えたのではないだろうか?

 さかのぼること美濃部革新都政では、福祉、教育、医療、社会福祉の充実を掲げたが、都職員の数も肥大化しそれが財政を圧迫することとなった。

 続く、官僚出身の鈴木都政では行政改革に取り組み、世界都市博覧会の開催や東京臨海副都心開発に意欲を見せたが、「世界都市博覧会中止・東京臨海副都心開発見直し」を公約とした、元参議院二院クラブ代表で、作家の青島幸男氏が、元出雲市長岩國哲人氏や平成維新の会の代表で、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の経営コンサルタントの大前研一氏という有力候補を破り、都知事選を勝ち抜き、都知事に就任したあたりがある種のターニングポイントだった。

 青島氏以来、石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、舛添要一氏と所謂、有名著名人の知事就任が続いた。

 石原氏はリーダーシップを発揮して、ディーゼル車排ガス規制、東京外かく環状道路整備凍結の解除および推進、羽田空港再拡張事業、青島都政で停滞した、臨海副都心開発に取り組み、一定の功績を残したように思われる。

 今、物議を醸している、豊洲市場移転問題を巡っては、その判断、責任の所在が問われていて、このコラム執筆時現在においては、この問題を巡って、小池百合子現知事と激しい抗争を繰り広げているがこの問題に関しては本論より逸脱するので、ここには記さないことにする…。

 問題が噴出したのは、猪瀬直樹氏の都知事就任と、舛添要一氏の都知事就任時である。

 猪瀬氏は石原氏から禅譲を受け、順調に都政をスタートさせ、2020年の東京オリンピック開催という大きな置き土産を手にしたものの、所謂、徳洲会事件で、石原慎太郎氏とも親交の深い、医療法人徳洲会からの猪瀬氏への不透明な金の流れに疑惑が集まり、辞任に置い込まれることになる。

 続いて、さしたるライバル候補も不在で、人気、知名度だけで選挙に勝ち抜いた、国際政治学者で元厚生労働相の舛添要一氏だったが、政治資金の支出などを巡る公私混同問題で、これまで我慢に我慢を重ねてきた都民の堪忍袋の緒が切れて、都民からの多大な不信を買い、都知事の座を追われることになる。

 石原~猪瀬~舛添と続いた、ある種の強いリーダーシップによる政策は、徐々に都民の民意を置き去りにした独善的な政策に映りはじめ、潜在的な都政に対する不満が蓄積されていった。

 豊かな財政ではあったが、都民へのサービスは低下し、税金も高く、やや福祉や社会保障、医療、教育が置き去りにされ、育児の分野においては、待機児童問題への無為無策など、都民の都政に対する不信は大きく募っていった。

 更に大きな問題は、都知事には権力や裁量が集中し、更にそこにぶら下がる都議会議員が様々な利権、既得権益を築き上げ、都政の恩恵を得る利益団体が限られ、公正かつ公平な競争が為されていないことへの、都民の怒りが、“都民ファースト”を歓迎し、現小池都政がある種の熱狂的な歓迎を受けているのである。

 都政を運営してゆくなかで、都知事にとって最大の顧客は納税者たる都民である。本来、議会はそれをサポートし、都民のプラスとなる政策を知事に提言し、法案や制度を可決し、有能な官吏である都職員が遂行してゆかなければならない。

 しかし、筆者がこのコラムを執筆している現段階では、議会は都知事のリーダーシップを妨げる抵抗勢力であり、都政刷新を受け、議会を去る議員も少なくないかもしれない。

 仮に、現東京都知事である小池百合子氏が、東京都民を顧客とする株式会社東京都の代表取締役であるとすれば、小池氏はかなり有能な経営者であると、僕は見立てる。

 企業のリーダーのあるべき姿とは、“ミーファースト”ではなく“顧客ファースト”。アメリカのリーダーである大統領ドナルド・トランプの“アメリカ第一主義”もアメリカという国の代表であるからその主張そのものは間違いではない。(が、トランプが果たしてアメリカ国民の求める自国第一主義であるかどうかは疑問である。)

 小池百合子知事が経営者として有能な点は、まず、顧客ニーズがどこにあるかを見極める力に優れている点である。

 というのも、都民はこれまで、議会における利権、既得権益をめぐり、公正、公平な取引が為されていないことに不満を感じている点を敏感に受け止め、まず都政刷新のための議会刷新へと手を打ったこと。

 更に言えば、東京オリンピック開催に向けて過度な財政負担が生じ、それが、都のサービス低下を招くとして、IOCや国、その他の県に協力を呼びかけるなど、「国の出先機関ではなく、独立した行政区としての都民への責任」を果たすことに全力を傾けている点が、顧客である都民の共感を呼んでいるのである。

 経営者は、その座に長い期間位置すると、革新的な発想が乏しくなる。

 革新的な発想が乏しくなる最大の要因は、顧客の声が耳に届かなくなり、これまでの経営戦略や販売戦略、マーケティング戦略から逸脱できなくなり、いつの間にか、顧客、ステークホルダー、成員からの不満が募ってくる。(まるで東京都のように…。)

 もし、顧客の不満に耳を傾けることもなく、独善や私利私欲に走ると舛添前知事のように、瞬時に失脚に追い込まれるというリスクがあり、下手をすれば企業の存続が危ぶまれることに成りかねないのである…。

 特に経営者が注意しなければならないこととは、顧客の不平や不満が経営者の耳に届く仕組み、システムが確立されているかどうか?である。

 組織が硬直化し、成員が点数稼ぎに走れば、経営者の耳に、苦情やクレーム、課題や問題が届かぬよう隠蔽し、報告を怠るというケースが多々見られる。

 今、政治や企業倫理の問題で事件が発覚する際の要因のほとんどが、都合の悪いこと、面倒なことに対する対応を誤り、収拾できない事態となってから発覚することが常態化している。

 どんな些細な、顧客からのクレームにでも報告相談がなされ、迅速に対応できる企業は当然のことながら、顧客から不信を最小限にとどめることが出来る。

 もし、それらに対する対応が後手、後手に回れば、今や、インターネットの時代、不平不満が爆発し、拡散され、経営者が知らぬ間に、いつのまにか風評被害で炎上しているという場合だってある。

 とにかく、経営者たるもの、顧客の声に耳を傾け、顧客ファーストで経営にあたる…。

 それができなければ、舛添前東京都知事のように、激しい突き上げにあって経営者として失脚するか、企業の存続そのものが危ぶまれるリスクがあることを常に念頭にいれて、発言、行動しなければならない。

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