42.「失われる信義~成人式に晴れ着を着ることが出来ないという異常事態に思うこと~」 | 株式会社 鈴木商会

42.「失われる信義~成人式に晴れ着を着ることが出来ないという異常事態に思うこと~」

この原稿を執筆しているのが、2018年1月9日であり、成人の日の翌日である…。

昨日の成人の日、世の中を騒然とさせたのは、着物のレンタル、着付けを生業とする“はれのひ”が、肝心、要の成人式当日に、休業し、晴れ着を購入したり、レンタル予約を行った新成人が、着付けできないという、購入した晴れ着を受け取ることも出来ないという異常事態…。

人件費の支払いや、家賃支払いの延滞など、“はれのひ”の企業経営が行き詰まり、経営は破たん状態にあったと予測されるが…。

だからといって、一生に一度の成人の日という晴れ舞台を台無しにして良いなどというものではない…。

この日を本当に楽しみにしていた、新成人の方々や親御さんの気持ちを考えれば、許されるものではない…。

こうした事態に、昨年、旅行代理店“てるみくらぶ”が破綻し、“てるみくらぶ”の旅行企画で渡航した旅行者の方々が、多大な被害を被ったことを思い出すのだが….。

人の大切な“想い出創り”をサービスとして提供している企業が、その想い出を台無しにする…。

まさに、信義が失われた今の世の中をある意味、象徴しているように思われる。

仮に企業経営が行き詰まり、破綻に追い込まれ、苦境に立たされたとしても、絶対にやってはいけないこと…。

それは、顧客からの逃亡である。

事業を存続させ、企業活動を維持する。それは並大抵のことではない。

けれど、最終的に経営破たんに追い込まれる運命にあったとしても、顧客にだけは信義を尽くす…。

それが出来なければ、再出発も再建もままならない。それはなぜか?

自分は背信を犯したことに、良心の呵責を感じなかったというその恥が一生心の中に巣付く…。心に巣付いたその闇を晴らすことなく再生を図ることは、並大抵のことではない。世間からの風評、債権者から受ける責めよりも、自分の心、気持ちが付いてゆかなくなる…。

だから、破綻が目に見えたらまず、何を一番にやらなければならないか?

それは顧客に向きあうことである。

遺された最後の力を振り絞り、誠意をもって顧客に向き合うことさえできれば、再生への道は拓けて来るかも知れないのだが…。

洗練され、成熟した資本主義経済のひとつの大きな課題とは、新自由主義の台頭による金融至上主義で、マネーゲームの勝者が多大な利益を稼いでいるという現状にある…。

マネーゲームの本質は、「顧客に誠意を尽くし、まごころを込めて商品やサービス、技術を提供すること」よりも、効率が優先され、知恵や知識を持つ者に優先的に便宜が図られる構造にある。

時に、あざとく、時に狡猾に、時に邪な考えが、マネーゲームを優位に立たせるというのが、ある種の現実である。

つまり、“人のために心を尽くす”であったり、“人の役に立つことを歓びとする”ということよりも、自分の利益を優先させることが当たり前となっている状況の中で、本当に大切な心が、この資本主義経済の中で失われつつあるのが現状のように思われる…。

しかし、まだまだ日本も捨てたものじゃないと思わせてくれたのは、“はれのひ”で着付けの予約を行いながら、まさに一生に一度の晴れの日にかけた新成人の方や、親御さんを救った同業者が現れたことである。

“はれのひ”のコンペティターである、同業のチェーンがツイッターで、それを呼びかける。八王子のユーミンの実家である荒井呉服店が、そんな方々のために、協力する…。

窮地に立たされた人のすべてが救われたわけでもないけれど、これが、ビジネスにおける信義である…。

こうしたニュースが報道されて、失われた信義にばかり注目が集まるが、競争から協創へ!を実現しようとする若い世代の方が、こうした“貢献”や“助け合い”への意識は高い。

 激化する競争に疲弊した若者たちが、自らの提供価値を供出し、様々なプロジェクトを立ち上げている。

 地域復興、障害者の方々に対する支援、就業支援のためのマッチングサービス、本当にビジネスに必要な学びの場の提供など…。

 筆者が関わる若い世代のビジネスパーソンは、これまで商売の糧として見向きもされなかったかった場所に目を向け、それを正当なビジネスとして成立させるために取り組んでいる人たちも多い。

 例えば、障害者の方々の就業支援サービスに取り組んでいるとある事業家は齢24歳。自分の周囲、身内に障害を抱えている人がいたわけではない。

 ただ、彼と志を同じくする起業を目指す若者の兄弟に脳性麻痺を患った方がいて、ある程度、健常者に近い仕事ができるにも関わらず、なかなか一般企業では就業できないという現実を知り、彼は奮闘する。

 障害者の方々の就業支援における公的制度や、雇用する企業に支給される助成金制度など、様々な制度、仕組みを調べ上げ、今の行政の対応では欠落している点、矛盾している点などを調べ上げ、民間サービスとしてそれが支援できないかを模索し、それを事業化しようと試みている。

 筆者も現在、その事業をマーケティングやITCの側面から支えようと、取り組んでいるのだが…。

 正直、現段階で果たして事業化できるか?法人の設立が可能かは不透明である。

 けれど、様々なビジネスで幾つかの成功を収めた彼のその思いこそ、ひとつの経営者あるべき姿ではないかと感心する。

 かつて広告会社にいた筆者は、今のミニマニズム=節約する若者への礼賛で、ファストファッション、ファストフードなどの業界が反映する、ムーブメントの情勢による、消費活性化という、バブル期以降、所謂コマーシャリズムによる商業主義の繁栄の片棒を担いできた。

 しかし、これからの時代、ある種の社会課題の解決に向けて敢然、果敢に取り組むことも大切なビジネスであり、自分の持つ経験値、知識をそこに活かせることができれば本望であると考える。

 人に寄り添い、人と分かち合い、人とも歓びを得る。

 ビジネスの原点はそこにあるのではないか?と筆者は考える、今日この頃である。

 

 

 

 

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