1.“忖度”の善悪 | 株式会社 鈴木商会

1.“忖度”の善悪

   このところ日本の国会の停滞を産んでいる、森友学園問題…。

 この問題の焦点とは、安倍晋三首相及び首相夫人安倍昭恵氏が、関係省庁に対して“忖度”を促し、政治介入があったか?なかったか?である。

 “忖度”とは?

 [名](スル)他人の心をおしはかること。「相手の真意を忖度する」

 一方、森友学園問題で、学校運営の認可をした大阪府知事の松井一郎氏は

「“忖度”にはいい“忖度”と悪い“忖度”があり、“忖度”が無かったとする安倍首相の見解には誤りがある。」と指摘している。

 もし、仮に、森友学園問題の様々な不当な土地取引に際して、総理官邸の“真意”をおしはかり、関係省庁が便宜を図ったとするならば、問題は“忖度”にあるのではなく官邸の“真意”が何処にあったか?であり、“忖度の有無”に関して議論しているメディア、マスコミ、そして、その善悪を話題にした大阪府知事松井一郎氏の主張が、僕にはいささか滑稽に映っている。

 “忖度”…。普段使うことのない難しい言葉であり、また日本のタテ社会、ムラ社会を象徴する、日本独自の慣習を示した、外国人には極めて理解し難い言葉である。

 思うに僕は、“忖度”に善悪などなく、ことビジネスの世界においては、重要かつ、必要な行為ではないか?と僕は思う。

 特に、顧客やステークホルダー、成員との信頼を醸成する上において、経営者は毎日、“忖度”のし通しである筈である。

 顧客のニーズやウォンツに適合する、顧客の課題や困難を解決する、商品やサービスを提供する際に、顧客の状況や立場をおしはかることは極めて重要。それがなければ仕事にならない。

 更に、共に仕事をする役員や部下の人心を掌握する上においても、“相手の真意”を推し量り、最適な指示、命令、報酬や機会を与えることで、信頼関係は醸成される。

 ただ、問題なのは、その“真意”がどこにあるのか?を読み間違えないことが極めて重要であり、“真意”に反した“忖度”は迷惑千万でしかない。

 例えば、とある案件の処理に際して、こんな“忖度”が働いたとする。

 とある得意先から納期と予算の縛りのある設備投資に関する機器納品の依頼を受けた。ところが仕入先から納期内かつ予算内で納品予定よりスペックの高い機器に関する提案を受け、得意先の承諾も受けず、ハイスペックの機器の納品をした。良いと思って忖度を働かせたわけだが、受注先より激怒される。なぜなら、この受注先は納品機器の型番に合わせ周辺機器を他の納入業者に依頼していて、周辺機器が納入商品と適合せず、設備投資そのものが無駄にしてしまったからである。

 結局、ビジネスにおいて忖度は必要不可欠で、それ自体に問題があるわけではない。結局はその“真意”を読み違えてしまったという、そこに問題がある。

 いくら“良い”と慮っても、相手に確認することもなく独善で下した判断は、信頼を損ねることに繋がりかねない。

 大切なことは“想像力”を働かせることばかりではなく“真意”がどこになるかを確認する確実なコミュニケーションである。

 こうして考えると慮った上での相手の“真意”が如何に曖昧なものかが、よくわかるもの…。

 つまり、ビジネスのみならず円滑な人間関係の維持には、相手の真意を引き出す力こそ、最も重要な力と言えるであろう。

 このタテ社会、ムラ社会において、日々、真意を露呈しあえる関係性がビジネスの上で成り立つか?というと、それはなかなか難しい。

 なぜなら、ビジネスとは、現アメリカ大統領、ドナルド・トランプの言葉に象徴されるように“取引”であり、そこに“駆け引き”が介在するのが常だからである。

 そんな中で常に相手の“真意”が引き出せる状況を創り出すためにはどうすればいいか?

 それは常に誠心誠意、真摯に相手に対峙し、都合の悪いこと、面倒なことを包み隠さすオープンに話し合える状況を創り出すことである。

 自分がオープンにならなければ相手はオープンにならない。自分が隙をみせなければ、相手は警戒感ばかりが先行し、相手の疑心暗鬼は晴れることはない。

 利益や利得ばかりを重視して、相手をそそのかしたり、駆け引きばかりをしていては、とてもそこには真の信頼関係など生まれる余地もない。

 曖昧な状況は明確にし、心に曇りなく相手に対峙することで初めて、円滑な交渉や意見の交換が成立する。

 そういう交渉術に長けていたのが、“今太閤”と呼ばれ、列島改造論で日本のインフラを世界レベルにまで押し上げた時の宰相田中角栄氏である。

 氏に関しては金権腐敗を蔓延させた悪の枢軸という見方もあるが、義理、人情に厚く、実に合理的かつ明快な理論で、相手を納得させるだけの強い情熱と意思があった。

 日中国交が正常化したのも、粘り強く真摯に、かつオープンに周恩来、という巨頭に対峙した成果といるであろう。

 日本は、小泉政権下以降、当時のブッシュ政権時に一世を風靡したアメリカの金融市場主義、新自由経済主義の風潮に影響を受け、過度な競争社会へと突入し、弱肉強食、実力主義、自己責任という言葉がビジネスの世界でもある種の常識となっている。

しかし、このアングロサクソン的な思想が、長くこの独自の文化を保守してきた日本の文化、風土とあいまみえるわけではない。

 利他が失われ、我が利だけを追求する経営者が多数登場し、格差や貧困は大きく拡大した。

 とはいえ、そんな中でこのデフレ不況下にオシャレなファッションを安価で提供することで社会貢献に努めたユニクロの創業者柳井正氏のような経営者も登場した。

 アメリカの過度な他国干渉で世界が混沌とする中、今、日本が生き残りをかけ再生を果たすためには、まさにこの国の民の家計や生活課題に適応した、課題解決に繋がる商品やサービスの供給を図ることである。

 そう、つまり、生活者、消費者の“真意”を汲み取り、“忖度”することこそ、これからの企業の存続の道…。

 独善的な判断で“真意”がどこにあるかを推し量ることができなければ、顧客を損失し、事業の存続は困難になる。

 合理性や効率の追求、無駄の排除だけが企業存続の決め手とはならない。日本の風土、文化に根差したある意味、新自由主義の風潮に左右されない、思いやりのある経営こそ、今の閉塞と混沌を打破する決め手になると僕は思う。

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